家事を「ながらでできる」家にするために

「ながら家事」って、間取りで決まるって知ってましたか?

「ながら家事」という言葉、最近よく聞くようになりましたよね。料理しながら洗濯を回す、掃除しながら子どもの様子を見る、洗い物をしながらテレビを見る。時間を有効に使うための工夫として注目されていますが、実はこの「ながら家事」ができるかどうかって、本人の要領の良さよりも、間取りと動線によるところがとても大きいんです。

以前のアパートでは、キッチンが壁向きで子どもの様子が見えない、洗濯機が遠くて回っているのを忘れる、掃除しようとすると別の場所へ移動しないといけない…「ながら」どころか、ひとつの家事が終わるまで次のことに手がつけられない環境でした。注文住宅を建てるとき、「ながら家事ができる動線」を意識して設計したことで、毎日の家事がまるで変わりました。この記事では、私が実際に取り入れた動線設計の工夫を3つお伝えします。

「ながら家事」ができる間取りの条件とは

視線が届く範囲に複数の家事場所がある

ながら家事ができる間取りの基本は、「視線が届く範囲に複数の家事場所がある」ことです。キッチンからリビングが見える、洗面所からランドリールームが見える、といった配置だと、複数のことを同時進行しやすくなります。逆に壁や扉で空間が細かく区切られていると、「今どうなっているか」が見えなくて、ながら家事がしにくくなります。

移動距離が短い場所に関連する家事をまとめる

もうひとつの条件は、関連する家事場所が近くにまとまっていること。料理と配膳、洗濯と乾燥、掃除のルートなど、一連の家事の流れが短い移動で完結できると、「ながら」がしやすくなります。関係のない場所が遠くにあっても問題ないのですが、よくセットでやる家事の場所は近くにあった方がいい。

わが家が意識した動線設計3つのこと

①キッチンからリビング・ダイニングを見渡せる配置にした

これがわが家の「ながら家事」の要です。対面キッチンにして、料理しながらリビングとダイニングが視界に入るようにしました。子どもが宿題をしているのを見ながら夕飯が作れる、テレビを見ながら洗い物ができる、子どもが何か困っていたらすぐ気づける。以前の壁向きキッチンと比べると、体は同じ場所で動いていても、気持ちの余裕がまったく違います。キッチンの向きひとつで、家の中での「つながり感」がこんなに変わるとは思っていませんでした。

②洗濯機・ランドリースペース・収納を近くにまとめた

洗濯に関わる一連の動作が、できるだけ狭い範囲で完結するようにしました。洗濯機を回しながら別の家事をしていても、洗濯が終わったらすぐ隣でそのまま干せる。干しながらたたんで、そのまま収納できる。この「洗濯の一連動作の完結」がわが家のながら家事を支えている大きな柱です。洗濯物を抱えて家の中を歩き回ることがなくなっただけで、家事全体の流れがスムーズになりました。

③掃除動線を意識して「行き止まり」をなくした

これは意外と見落としがちなポイントです。掃除機をかけるとき、行き止まりがある間取りだと、掃除機を持って来た道を戻らないといけない。これが地味にストレスで、「またここを通らないといけないのか」という気持ちになります。わが家はリビング→ダイニング→キッチン→廊下→リビングと、ぐるりと一周できる回遊動線を意識しました。掃除機をかけながら一方向に進んで元の場所に戻ってこられるので、掃除のストレスがかなり減りました。

ながら家事動線で失敗したこと

失敗①:開放的にしすぎてにおいが広がりやすい

キッチンをリビング・ダイニングに向けて開放的にした結果、料理のにおいがリビング全体に広がりやすくなりました。換気扇を強にすれば多少改善されますが、魚を焼いた日などはリビングのソファまでにおいが届くことがあります。開放的な間取りとにおい対策は、セットで考えておくべきでした。

失敗②:回遊動線にしたら収納スペースが減った

回遊できるようにドアや通路を設けた分、その壁に収納を作れなくなってしまいました。動線と収納はトレードオフになる部分があって、回遊動線を優先した結果、廊下沿いの収納量が少し減ってしまいました。どちらを優先するかは家族のライフスタイルによって変わりますが、設計段階でしっかりバランスを考えておくべきでした。

ながら家事動線は、体で感じてみるのが一番

ながら家事のしやすさって、図面を見ているだけではなかなか実感しにくいんです。実際に空間の中で動いてみて初めて、「ここのキッチンから子どもの様子が見えるか」「洗濯機からランドリースペースへの移動がどれくらいか」がわかります。私がとても参考になったのが、実際の家の空間で動線を体で感じられる場所を訪れたことでした。家事の流れをリアルにシミュレーションできるながら家事動線が実際に体験できるモデルハウスを歩いてみると、図面ではわからなかったことがたくさん見えてきますよ。

これから家づくりをする方へ

ながら家事ができる家を作るために、特別に難しいことをする必要はありません。キッチンの向きをリビング側にする、洗濯関連の場所を近くにまとめる、掃除の流れが一方向になるよう回遊できるようにする。この3つを意識するだけで、毎日の家事のしやすさがぐっと変わります。家事は毎日のことだから、少しのストレスが積み重なると大きな疲れになる。逆に言えば、少しの工夫が積み重なると大きな余裕になる。ぜひ間取りを決めるときに、「ながら家事ができるか」という視点を加えてみてください。